ダイレクトマーケティングの対義語はステマ? 違いを理解しないと逆効果

マーケティングの手法は数多くあり、中でも「ダイレクトマーケティング」「ステマ」といった方法は知っておきたい販売戦略です。ところで、ダイレクトマーケティングやステマの意味をきちんと把握していますか?あなたの思い込みで間違った使い方をしてしまうと、ユーザーから嫌がられて逆効果になりかねません。

ここでは「ダイレクトマーケティング」「ステマ」の意味を正しく説明していきます。

ダイレクトマーケティングの意味とは?

ダイレクトマーケティングとは、「見込み顧客に直接アプローチを行い、関係を構築していく宣伝活動」です。通信販売やダイレクトメールといったやり方以外に、ターゲットが関心を抱くようなコミュニケーションを図る方法もあります。

ダイレクトマーケティングの手段

・通信販売
・ダイレクトメール
・居酒屋の前で配っている、クーポンやチラシ
・お得な情報つきのメルマガ
・Webユーザーーの検索キーワードを参考にした、関連広告

もともとダイレクトマーケティングは通信販売を原点としており、電話などによる直接的な注文のやり取り(ダイレクトオーダー)というイメージを抱きがちです。しかし現在では、顧客との関係性を深めて継続的な売上を目指すやり方が好まれています。

飛び込み営業をして、誰でもいいからメッセージを届けるといった考え方では通用しません。不特定多数よりも特定の相手に的確なメッセージを届けるのが、これからのダイレクトマーケティングなのです。企業が一方的に情報を与えるのではなく、相手の反応を測定しながらプロモーションを展開していきましょう。

ステルスマーケティングの意味とは?

一般に「ステマ」と呼ばれる、ステルスマーケティング。ステルスマーケティングとは「宣伝であると消費者に気づかれないように、販売促進を行うこと」です。

ステルスマーケティングの手段

・口コミサイト
・ブログによる、お店やゲームの評判
・オンラインショップを利用してみての感想記事
・商品を使ってみての体験記
・動画メディアでのお気に入りアイテム紹介

匿名性の高いサイトを利用した宣伝や、ファンを多く抱えている人が行う商品紹介が該当します。評価を意図的に高めることで、多くのユーザーの目に触れさせて商品に対する印象を上げます。しかし近年では、業者が一般消費者になりすまして口コミや記事を書くといったイメージもあるのが現状です。そのため、「ステマ」と聞いて、あまりよく思わない消費者が多いとされています。

それならば顧客との持続的な関係を構築でき、結果を計測できるダイレクトマーケティングのほうが集客に結びつきやすいでしょう。ダイレクトマーケティングでは直接反応が得られるばかりではなく、費用対効果がすぐにわかるのが魅力です。ユーザーの反応によって情報を届けるタイミングや期間が自由に変更できるため、効率よく販売戦略を練ることができます。

一人歩きする「ダイマ」と「ステマ」

近年では、ダイレクトマーケティングのことを「ダイマ」と呼ぶ人が増えてきています。ステマのほうはニュースで取り上げられるほど認知度が高くなりましたが、ダイマのほうはまだまだネットスラングの意味合いが強いのが特徴です。

ただ、ステマを「隠している宣伝行為」、ダイマを「隠さない宣伝行為」とだけ認識していては大きな誤解を招きます。ソーシャルメディアで「ダイマする」と気軽に使うユーザーがいますが、「これから堂々と宣伝する」という誤った使い方をしている傾向にあります。これでは、ダイレクトマーケティングの考え方である「顧客との関係性を深めて継続的な売上を目指すやり方」に反しており、ダイレクトマーケティング=ダイマではなくなっているといえるでしょう。

またステマも、宣伝と思われたくないユーザーが照れ隠しで、「この商品に巡り会えてよかった!ステマじゃありませんよ(笑)」と使っているケースも目立っています。本来のステルスマーケティングの意味は「宣伝であると消費者に気づかれないように、販売促進を行うこと」であり、こちらも微妙にニュアンスが変わっているのが問題です。

販売戦略のやり方に注目すると、ダイレクトマーケティングはステルスマーケティングの対義語といえます。しかし、ダイマとステマの概念がそれぞれ一人歩きしてしまって、ダイレクトマーケティングの対義語にステマが当てはまらない事態が起こっているので気をつけてください。

ダイマと宣伝をして報酬を得ている際の注意点

繰り返しになりますが、ダイレクトマーケティングとは「標的消費者である個人あるいは法人に直接的なアプローチをかけて、お互いの関係性を築いていく方法」を指します。ソーシャルメディアで「ダイマ」と発言して宣伝活動を行っていくのは、本来のダイレクトマーケティングとはかけ離れています。さらには報酬が発生しているのに、そのことを明らかにせずに「ダイマします」と伝えて商品紹介をしていては、「ステマ」と何も変わりません。

これでは、企業が事業主にお願いして、さりげなく宣伝してもらう構図と同じものになってしまいます。顧客から「ダイマって言っておきながら、やっていることはステマと変わらないじゃん」と言われてしまう前に、ダイレクトマーケティングとステルスマーケティングの意味をきちんと把握しておきましょう。

昨今の消費者は宣伝や広告にとても敏感になっており、販売促進の手段も慎重に考えなければいけません。せっかく信頼を獲得できそうなユーザーが生まれても、「一方的な情報提供」だと思われたらすぐに離れてしまいます。

もし確実に顧客を獲得したい場合、自費出版などで自社のブランドブックを検討してみるのもひとつの方法です。このようなダイレクトマーケティングであれば、見込み顧客に不信感を与えません。企業の魅力を知ってから商品やサービスを検討できる、そんな環境を整えてみてはいかがでしょうか?