セグメンテーションとターゲティングの違いは?
セグメンテーションとは、市場や顧客層を属性によって分けることを意味します。そして、ターゲティングとはセグメンテーションによって分けられた市場のどこに狙いを定めるかを決定することを意味します。それぞれの意味や違いについて詳しく見ていきましょう。
セグメンテーションとは?
セグメンテーションとは、市場にいる人たちを、ニーズや特性といった属性ごとのかたまりに分けることを意味します。市場を細分化することで、自身の製品をアピールするのに、最も魅力的な層をかんたんに見つけることができるというメリットがあるのです。
セグメンテーションを行う際によく使われる分割指標は以下の通りです。
- 住まいや文化、行動範囲といった「地理」に関する指標
- 年齢や性別、職業といった「人口」に関する指標
- 新規顧客やリピーター、購買への関心といった「行動」に関する指標
- 価値観や趣味、ライフスタイルといった「心理」に関する指標
また、これらの指標だけではなく、「ソーシャルメディア分析」もセグメンテーションを行う際によく活用されます。ソーシャルメディア分析とは、ソーシャルメディア上の投稿を分析することで、市場のニーズを調べることです。
ソーシャルメディアの投稿を分析すると、たとえば中学生向けの学習教材として売り出していた漢字ドリルが、高齢者の間で認知症予防の脳トレドリルとして流行していたなど、思いがけないニーズを知ることができます。このような予想外のニーズを知ることで、より明確に市場や顧客を細分化することができるのです。
分割指標やソーシャルメディア分析を活用することで、市場を細分化し、商品のユーザー像やニーズをつかんでいくことが可能になります。
ターゲティングとは?
セグメンテーションと似た概念としてターゲティングがあります。ターゲティングとは、さまざまな市場がある中から、自身の商品を売り込む市場を決定することです。たとえば、何らかの事柄に関する解説書を発行する際に、まったくその事柄を知らない人を狙うのか、ある程度の知識を有している人を狙うのか、専門知識を有している人を狙うのか、といったことを考えて売り出すことを指します。
売り込むターゲットをしっかりとしぼりこまないと、せっかくの製品が誰にも必要とされないものになってしまうかもしれません。製品を売り込む層や市場を決定するターゲティングをすれば、価格設定や商品のプロモーションを効果的に行うことができるというメリットが生じるのです。
マーケティング戦略の成功を左右することにもなるのがターゲティングだといえるでしょう。
セグメンテーションとターゲティングの違いとは?
セグメンテーションとターゲティングは混合されやすい概念です。しかし、セグメンテーションが市場や顧客層を共通属性で区分することであるのに対し、ターゲティングとは、セグメンテーションにより区分された顧客層や市場の中から標的とする顧客層を決定することを指します。ですから、この二つはまったく異なる作業だといえるでしょう。
ただし、「セグメンテーション」と「ターゲティング」が、相互に影響を与える関係にあることは間違いありません。セグメンテーションにより、市場や顧客層をきちんと分析できていないと、ターゲティングがうまくいかない可能性があるのです。いずれも推測で考えずに分析結果により最適な選択をする必要があります。
また、書籍を発行する際にもセグメンテーションとターゲティングは重要です。書籍は、書店などでジャンルやニーズなどによってセグメント(分類)されて並べられます。ですから、書店によるセグメンテーションを参考にしながら、どんな読者をターゲットにするかを考える必要があるのです。その際には、自身が発行する書籍の「強み」をきちんとつかんでおき、その「強み」を必要としている顧客層や市場がどこなのかを把握してターゲティングを行うとうまくいくでしょう。